第2章 その4

結局話しかけられるタイミングがなくて、爺さんは店に入っていった。

裏口から入ったということは従業員か店長か、まぁ店の人間であることは間違いない。

店が開いたようで外から覗くとカウンターに座っている、ここは客として聞いてみよう、それが一番自然だ。

「いらっしゃい、探偵さん」

入った途端、向こうからそう話しかけられた。探偵?何を言ってるんだ?お前は俺を知ってるのか?

「さっきの公園からつけてきただろう?知らない人からついてこられる心当たりがなくてね、探偵でもない人からつけられるなんて怖いじゃないか、だから君の事は探偵と思うことにする。」

気づかれてたのか、しかしなんだその理屈は。歩き方もしっかりしてたが話し方もずいぶんしかっりしてやがる。向こうが勝手にまとめてるからそういうことにしておく。

「ちょっと聞きたい事があって、これ分かりますか?」

「なんだい?こりゃ?」

分からねぇから聞いてるのに聞くなっての。

「こういうの詳しいと思いまして」

「いや、アンドロイド扱ってる店はやってるが部品に詳しくはないんだよね、そういうのは整備士とか設計に携わってる人間に聞かないと」

「え?あぁ、そういうもんか。じゃあ分からんですね」

「まぁ、アンドロイドに使われてるものかどうかすら怪しいもんだけど」

俺が差しだしていた部品を手に取りまじまじと見ている。

「あーでもアンドロイドの部品なのかもしれないね、ほらここにメーカー名が入ってる、最大手のメーカーで部品の製造から組み上げまでやってるところだから、アンドロイドの一部である可能性は高い」

 

「で、昨日はそれに一日費やしてたのか」

次の日、いつものようにタカミが話しかけてきて昨日の事をざっくりと話していた。

「暇つぶしとはいえ、ずいぶん実りのない事してるなぁ」

「まぁ、まだ結局何の部品かは突き止めてないけど、分かったところで意味ねぇけど」

「それどこのメーカーだったんだ?」

「えーと、ほらあれだよ」

アンドロイドに縁のない俺でも聞いたことのあったメーカーで昔に見た記憶のある広告の話をした。

「それ、もしかしたらお宝かもしんねぇな」

ずいぶん下衆な笑いを浮かべながら近づいてきやがる、気持ちわりぃ。

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