ウヰスキー

琥珀色のウヰスキーを照明にかざして
物思いにふける夜更け
何度も私じゃダメなんだと
頭の中で繰り返して
隣のあなたに視線を向けた

素直に気持ちを現すことが苦手になって
どれくらいだろう
アルコールを覚えてから
気持ちを飲み込む術を覚えてしまった

グラスにウヰスキーを回していると
大人になったような気がするけれど
自身が子供だと一番わかってる

蛍光灯の明かりを
少し弱くして溜息混じりのあくび
今夜は眠れるだろうか
乱れた睡眠時間も気にして
グラスに手が伸びる

氷が傾いてなる音が
心のどこかに沁みる気がした

もやのように融ける氷を眺めて
消えてしまいたいと呟く誰かを
誰が助けられるのか

琥珀色のウヰスキーが
ずいぶん薄くなって
夜の深さは増していく

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