一人暮らし

鏡を覗いて映る自分の動く様を追いかける
外の見られている形と内に響くいくつもの声
とめどなく溢れる情報と感情
収まり切らずに口から漏れる

返事はない　これは独り言
カーテンに布団に掛けている衣服に
声は吸われて反響などなく

換気扇を伝って外の車の音がする
廊下や階段を歩く足音がする
この世界には何十億という人がいて
手を伸ばせば届く距離にある
未だにおかえりは返ってこないけれど

脱いだ服はカゴの中
明日は洗濯をしなくちゃ
溜まったゴミは口を縛って
出し忘れの無いように玄関に
少し多めに野菜を摂って
洗い物は溜め込まず

不思議なもので独りでちゃんと生きている