その6

「寝る時?一緒に寝たいってこと?別に叶えられるけど、なんというか、ちょっと恥ずかしいな」

「ごめんなさい、暗い中一人になったらと思うと、また会えなくなってしまうような気がしてしまって」

「分かった、良いよ。」

 

そこから少し部屋にあるものを説明して、お腹がすいたので料理をしてもらった。

「陽君はあんまり食事はこだわらないんですか?」

「こだわらないというか、優先順位が低いんだよね。他にお金を使いたいものがあるから」

「私は優先順位が高かったんですか?」

妙に嬉しそうに、ニコニコしながらその子は言う。それにしても表情の豊かな子だ。こうして会話が楽しく感じるだけでも日頃節制をしていたのは間違いじゃなかったと思う。

これだけ表情豊かだとこんな顔もするのかとふと頭をよぎったけど今は口に出せそうにないので今後見れることを期待するとする。

「ごちそうさまでした、少ししたら歌でも歌おうかな」

「あ、ついにメインのお仕事がはじまるのですね、楽しみです。手早くお片付けしちゃいますね。」

楽しそうに食器をまとめて軽やかに流しに向かう。僕も準備をする、もちろん誰かに演奏を来てもらうなんてことは全く初めてでもないけれど最近はめっきりなくなった。理想通りに歌えるだろうか。

 

洗い物も済み、楽しそうに微笑みながら僕の前に座る。いつもより掌が湿り、鼓動も早くなっている、緊張ってやつだ。少しづつ調子を確かめるように歌い始める。少し前に作った曲だ、ちょっとやり慣れてなさが目立つかもしれない。

歌い終わると拍手をしてくれる、わーと嬉しそうに両手を合わせる姿が目の前にあることがこんなに嬉しいとは。少しくすぐったい気持ちが襲ってくる。

「素敵な曲ですね、陽君もう一度歌ってくれますか?」

「もう一度?いいよ。」

よほど気に入ってくれたのだろうかと思い、また同じように歌う。するとさっきとは違って音が重なってくる。コーラスを入れてくれているのだ。

一度聞いただけでハモリを入れられるとはさすがアンドロイドである。

「どうでしょうか、私は歌唱特化型のモデルなのでこんなこともできるんですよ」

誇らしげに話すその姿は歌うのが好きな様子がよくわかる。

「でもこれじゃリスナーではないですよね、余計なことをしてしまったでしょうか」

不安そうにこちらを覗く様は可愛らしかった

「いやそんなことないよ、そうか君は歌えるから一緒に出来るんだね、聞いてもらうだけよりももっと楽しいなこれは」

「じゃあ一緒に歌ってもいいんですか?」

「もちろん、自分が創った歌を唄ってもらえるのも嬉しいしね。そうだせっかくだったら、楽器もやってみない?」

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