鼓動

耳を澄ませど自分のものしか聴こえず
休む事なく動く鼓動を忘れてしまう

水に沈めば伝わる音が
思ったよりも大きかった

こめかみの脈動は僅かながら布を揺らす
そのちりちりとした振動を
暗闇の中で探ったのです

なんだまだ生きてるんだな
と嫌に他人事みたいな
明日の天気を確認するみたいな

鼓動の速さは緩やかに鎮まり
このまま止まってしまうのならと
よぎった考えでまた速くなる

悲しいほどに生きてる事に耳を傾けて
そのうち腹も鳴って
明日も生きるのに息を吸って飯を食う

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