正面を

あの子が隣にいてくれたら
僕はどこにだって行ける
そんな妄言を口にして
空っぽの日常を見つめる
虚ろな目をして

あの子の目には僕は映らない
こんなに悲しい事があるか
愛しく感じれば感じるほど
虚しさが積もり募ってゆく
雪のように押し固められて
氷のように冷え固まって

出逢いの季節
別れの季節
謳い文句のようにつけられた
春夏秋冬は意味などないとわかる
ただあの子が通り過ぎて
僕は動けないままだ

人の目は正面を見る
その後ろは気づけない
誰かを見る時
誰かは見ることが出来ない
全てを見るのなら
高く 遠く
離れていくしかない

行かないで
なんて引き止める理由が見つからない
このまま足を止めるわけには
いかないのだから

できれば遠くで見ていてほしい
そのために少しでも
見つけられるように光ってみる
鈍くても

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