雨に降られて

平日の夕方 怠惰の眠りから目覚めて
一向に上がらないテンションと
なんとも言えない体の不調を引きずる

家に篭り 貧相な生活
誰にも合わずに数ヶ月
ただ何者かになりたいと幻想を追って
都会に出てきたのは何年前か

北の空に曇天 嫌な鼠色
季節柄いくらでも想像できたのに
何故か足を止めなかった

案の定降り出した跳ねる水飛沫
辺りに借りる軒先などなく
開き直って家路を急いだ

夕立の雨に降られて
目の前は滲んで見えない
ずぶ濡れの重い体を
生温い風が撫でていく
誰も傘を差し出す事なく
これは悲劇にもならない
哀れむ訳でもなく
いっそのこと笑ってくれ


グシャリと歩くたびに足元が鳴る
自信も同じように足元覚束ず
音を立てて崩れ落ちたのは何度目か

行方を見失ってどれくらいになるのか
辛い時でも笑えるようになった
それがいいのか悪いのか
分からないけど開き直れるようにはなった

何をすればいいか分からなくなって
行ける場所にも希望を持てなくなって
頭が空っぽになった先でやっぱり歌っていた

夕立の雨に降られて
目の前は滲んで見えない
ずぶ濡れの重い体を
生温い風が撫でていく
誰も傘を差し出す事なく
これは悲劇にもならない
哀れむ訳でもなく
いっそのこと笑ってくれ


夕立の雨に降られて
目の前は滲んで見えない
ずぶ濡れの重い体を
生温い風が撫でていく
通り雨と分かっていた
明日の予定なんかない
それなのに家路を急いだのは
洗い流してくれればいいと思った

夕立の雨に降られて
目の前は滲んで見えない
ずぶ濡れの重い体を
生温い風が撫でていく
誰も傘を差し出す事なく
これは悲劇にもならない
哀れむ訳でもなく
いっそのこと笑ってくれ

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