終点

この電車は
どこへ向かっているのだっけ
あとどれくらいで
目的地に着くのだろう

ねぇあなたは
どこへ向かっているの
行きたいところなんてあるの

いつかどこかにたどり着いて
降りていけるのだろうか
それともまた
乗り換えて違う方面に
向かうのだろうか

もしもこの列車が環状線だったら
終点を気にする必要はないのだろう
そしたらどこで降りればいいの
それは幸せなことなのかな
 
各駅停車か急行か
降りる機会はそこここにある
時折車内の人たちは
窓からホームを眺めて涙を流す
大事な人が降りたのだろう

駅に着くまでは
降りることは出来ないだろう
普通だったら
普通じゃない時だって
あるかもしれないけれど

目的地を定めて
僕は列車に乗っているのか
はたまた知らぬうちに乗せられて
いつまでも運ばれているだけ
なのだろうか

乗車カードには行先は書いていない
切符だったら
まだヒントもあったろうに

列車は日に日に加速する
車内アナウンスは
上手く聞き取れないみたいだ