第2章 その3

この間拾ったなんだかよく分からない部品をとりあえず持ち帰ってみたものの、それが何なのか調べる方法からわからん、ネットを使おうにも『何かの部品』じゃ何一つ絞り切れん。現物はあるんだから人に聞くのが早いだろうと思ったけど、じゃあ誰に聞けってんだ?となり、また考えが止まる。

そもそもなんでこんなよく分からんもんを突き止めようとしているのか、そんなことして何の意味があるのか、時間の無駄な気がするけどそもそも無駄にするほど有り余らせてるから別にいいかもしれん。代わり映えのない日常に起きたちょっとしたイベントみたいな感じで暇潰しにしよう。

そうまとめて俺はまた答えを見つける方法を考える。詳しそうな知り合いはいるか、そもそも知り合いと呼べる人間がいねぇじゃねぇか、機械関係だからアンドロイドの部品かもしれん、この辺りに店はあったか?普段興味ないというか縁がねぇから記憶に残らねぇや、今日はまず店を探してみるか?

そう言えば、いつもアンドロイドのカタログを見てる爺さんが居たな、あいつはもしかしたら業者側かもしれん。

そうして俺はいつも見かける公園に行った。

大体いつも同じベンチに座っていた気がするけど今日は居ない、けど今日は真っ直ぐここに来たからいつもより早い時間に俺が着いただけかもしれん、少し待ってみよう、どうせ暇だ。

10分くらいしたところで向こうから爺さんが歩いてくる、あの爺さんだ。

おそらく結構な歳だろうに歩き方はしっかりしていて杖も使ってない、小脇にカタログを挟んでる。

そしてここからが問題だ。

見知らぬ爺さんに声をかけるなんざどうすればいいか分からん、なんて言えばいいんだ?明らかに怪しまれるだろ。

が、考えてもらちがあかん、こんなのは勢いだ。

「、、、っ、!、、」

声が出なかった、声の出し方が分からん!

「、、っ!っあ、、、ぁの、ちょっと、、すいません」

よし、声をかけたぞ。

けど、反応がねぇ、カタログを見たまんま顔も上げねぇ。

くそ!耳遠いのかよ、ボケ老人がっ!

せっかく声かけたのに無駄になってイライラしたが、よく見ると耳になんか引っ掛けてる。イヤホンだろうか、音楽を聴いてたりして余計に俺の声は聞こえないだろうな。

これ以上のアピールは地獄だ、どうしたもんかと頭を下げて抱えてたら爺さんは立ち上がり歩き出す。

しょうがねぇから後をつける、話しかけられるタイミングがあるかもしれねぇ。

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