おじさんのうちにアンドロイドがいた。うちにはアドロイドはいない、あるのは全自動の家電くらい、別にこまらないけど。
さいきんはつまんないことばっかり、学校もいつも変わらないし、今日はあきたから他のことをする。かってにどこかにいくとお母さんがおこるから今日も陽くんのところにきた、おじさんの家はぼくの家にはないものがあるからおもしろい。楽器ってやつは自分で音をならすものらしいけど、音楽を自分でするなんて変だ、ぼくのまわりは誰もやってない。いつかぼくもやってみようかな、陽くんおしえてくれるかな。
アンドロイドがさんぽに行こうっていうからつきあってあげる。
「タカユキくんには友達はいますか?」
「いない、学校の子たちは話があわない」
「学校のほかにはいない?」
「学校のほかにいくとこなんて陽くんのところくらいだからいない」
「そっかぁ、陽君とは友達?」
「陽くんはおじさんだよ。お母さんのおとうと、友達とはちがう」
「親戚でもお友達になれると思うな、年上のお友達を作ると色んなことが知れてもっと楽しくなると思うよ」
陽くんもふしぎなことをいうけれど、陽くんのアンドロイドだからなのかこの子も変なことをいう。
「ねぇ、アンドロイドと人間ってどうちがうの?」
「んー。見た目はおんなじ様にできてるけど体の中身は全然違うよ。やっぱり機械だなって。でも陽君はいつも他の人とおんなじ様に話してくれる。『同じように感情があるなら僕らは大差ない』っていってくれる。あとは悲しくても涙は流せない、私はうらやましいなって思うけど。タカユキくんは泣いたりすることはある?」
「ないよ。子供じゃないもん」
泣くってよわいことだ、そんなのちっともうらやましくない。やっぱりこのアンドロイドも変なことをいう。
「ねぇ、名前なんだっけ」
「エミっていいます、微笑みからとってエミ。陽君がつけてくれました。」
「エミは陽君と友達なの?」
「そう、陽君は友達、大切な人。一緒に住んでるから家族かもって思ったりもするけど友達。」
「ぼくも陽くんと友達になれるかな?」
「じゃあ帰ったら聞いてみよう。それと私とも友達になってほしいな」
「べつにいいよ」
アンドロイドと友達になったなんて話したらまた変って言われるだろうな。言わなきゃいいか。
「タカユキくんは甘いもの好き?」
「べつに嫌いじゃないけど」
「あそこにあるお店、陽君がいつも見てるけど買わないの。食べればって言うんだけどいつも今日はいいやって言うの。特別なときに食べるって。私が買うから食べない?」
「いいの?かってにお金つかっていいの?」
「大丈夫、言わなきゃバレない。」
いたずらっ子みたいな顔しながら人さし指を口のとこで立ててる。ほんとに人間と変わらないことする。
「そんなの、りれき見たらいっぱつじゃん。」
「あっ!そっかぁ。でも大丈夫」
なんでだいじょうぶかわかんない。でも陽君ならおこらないかな。
「いいよ、食べていいなら」
「やった!どんな味が教えてね」
クレープってやつを買ってもらった、バナナよりリンゴの方が好きだからトッピングはリンゴにした。
「どう?おいしい?」
「うん、あまい」
「そっかぁ、甘いかぁ。よかった。」
「なんで買ってくれたの?ご機嫌取りってやつ?」
ちょっといじわるな言い方だったかもしれない。でも言いたくなっちゃった、なんか楽しくなってきたから笑ってるし、これって友達になれたのかな。
「難しい言葉知ってるねー。そんなんじゃないよ、だって今日は特別な日でしょ。初めてタカユキくんに会って、それで友達になれた日だから」
「ただいまー」
二人声を揃えて帰ってきた。出かける前と同様に手を繋いでるけど、仲良くなれたように見て取れる。
「おかえり、楽しかった?」
「まぁ、それなりに」
「とっても楽しかったですよ、タカユキくんと友達にもなれたし!」
ぶっきらぼうな言葉のわりにタカユキくんの表情は柔らかい。
「ねぇ、陽君もさ…友達になってよ…」
「友達?そうか僕もか。いいね、そしたら友達になろう。」
「ほんと!?じゃあこれから友達。」
改めて考えてみると叔父と甥の関係よりも友達の方がしっくりくるかもしれない。これから何か変わるわけじゃないないから今までも友達のようなものだったけど。
「みんなが友達になった記念に、みんなで歌を歌いましょう」
エミがウキウキしながらギターを渡してくる。
「なるほど。タカユキくん好きな歌はあるかい?」
「えーと、…あの…学校で…習ったやつで…」
「いいね、なんてやつ?」
学校で習った曲で気に入ってるのがあるなんていいじゃないか。
3人で一緒に歌ってみたけどタカユキくんは下手だった。3人で笑ってタカユキくんは練習すると豪語していた。
「もしもし陽?あんたアンドロイド買ったのね。なんか孝幸がアンドロイドと友達になったって話してた。あとあれからなんか吹っ切れたのか、最近は鼻歌歌いながらずっと何か読んでるのよ、どんどん読むから買うの大変だわ。なんか共有できるデータあったら送って。学校は相変わらずよ、また遊びに行くって言ってるからよろしくね」
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