「へんな大人ってのはわかる、へやにもへんなのいっぱいだし」
「その変なもの目当てで遊びに来る君も、やっぱり変なやつかい?」
少しショックを受けたのか、表情が暗くなる。言い過ぎただろうか。
「ねぇ、なんで陽くんは変でだいじょうぶなの?」
「ん?どういうこと?」
「ぼくが学校で好きなことの話をするとみんな笑うんだよ、そんなの変だって。だからぼくは学校がつまらない、勉強もつまらないし。」
なるほど、趣味や嗜好が周りの子と合わないからなじめないという訳か。
「僕はね『変』なのは強みだと思ってる。個性で武器だ。だから僕はこのままでいくと決めたし、それを認められない場所ならそこにいる必要はないと思ってる。だからタカユキくんが学校に行かないことは別に悪いと思ってない。」
「でもお父さんもお母さんもぼくが学校に行かないと怒るよ。」
「それは姉さんもお義兄さんも学校に行く事は普通で何でもない事って思ってるからだと思う。学校に行きたくないなんてのは、朝起きたくないとかもっと遊んでいたいとかその程度の気持ちから来るもんくらいにしか思ってないんだよ。でもね、学校は行けるなら行った方が良いのは事実だ」
「どっちなんだよ、行かなくていいって言ったり行けって言ったり」
「僕は昔、学校に行ってなかった時期があるけど正確には行けなかったんだと思う、上手く自分をコントロールできなかったから。だから今思い返すとどうでもいい奴の話は無視してやりたくないことは適当にして学校には行ってる方が良かったとは思う、サボりながらでも」
「そんなのでいいの?今のままで良いの?」
「色んな人の話を聞けばいい、それでタカユキくんが出した答えが正解だよ。学校に行かなかった僕の話はこんな感じ。色んな話を聞くためにも家に籠っているより学校に行った方が良いってのもあるね」
「わかんない」
「タカユキくん、お散歩に行きませんか?」
エミがタカユキくんに提案する。
「陽君の小難しい話を聞いて頭がこんがらがってきました、気分を変えるために散歩に行きましょう」
おもむろに手を取り玄関に向かう。急に先導されたことに驚き半ばされるがままにタカユキくんもついていく。
「車には十分気を付けるように、なにかあったら連絡して、すぐに行くから」
「はーい、行ってきまーす」
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