ある六畳間から意識を飛ばして

小さな狭い部屋の中で
そこに今までの生き方全てがあった
そう言われると大事なものが
手の届くところに置かれていたり
余計なものが放り出されていたり
昔描いた理想とかけ離れたあり様だったり
美しくも醜くも見えた
なるほどと納得した

この部屋が物で溢れているように
世界にも物が溢れている
他人の理想を叶えて
引換券を集めて
必要な気がするモノと交換しては
手にした後から愛情は減っていく
そしていつか次を求めるのだ
そうして世界は回る
地球という星はそんな事関係なく
宇宙やら他の星やらの関係で回るけど
僕らの世界はそうやって回る
だから僕らが消えてもこの星には関係ない
人には人の道理がある
虫には虫の
動物には動物の
植物には植物の
星には星の道理で回る
だから悲しまないで
君に価値がないわけじゃない

人は安全を手に入れて
時間を手に入れて
心を現すことに時間を使った
それを芸術と呼んだ
感じたことを多彩な言葉で伝えた
言葉にできないものは
空気を震わせて音にした
様々な色で伝えた形に表してみた
技術が進歩して時が経つにつれ
伝える道具は増えていく
この先の未来もしかしたら
全てを伝えられる方法が
生まれるかもしれない
そうしたらすれ違いは
なくなるかもしれない

上手く伝わらない事もあった
いや大概が歪んで受け止められて
僕らは人を好きになったり
嫌いになったりする
もしも全てを伝えられるなら
芸術は形を保つ事はできないだろう
そこには矛盾が伝わってしまうのだから
そんなちぐはぐは心地よくない

小さな狭い部屋で僕は伝えようとした
結局できることしかできなかった
他に代わりはいることくらい
痛いほどよく分かっていたとしても
手に届く範囲のものと僕の1番近いもので
伝えたくて足掻いてる
散らかった宝物みたいな部屋の中で

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