飢える王様

ある男は小さな国の王様でした
王様は王様なので傍若無人に振舞います
嫌いな人は切り捨てます
不満があれば喚き散らします
王様は世間的に見ればいい大人の年齢でしたが
立ち振る舞いは子供のそれでした

やはり子供だけでは生きていけないので
ご飯を運ぶ係の人がいます
その人は王様が好きなので苦ではありません
わがままな王様が王様でいられるのは
支えてくれる人たちのおかげでした

王様は好きなものしか食べません
食い散らかして後片付けはせず
もっとおいしいものをもってこいと
騒ぎます

周りの国では食べ物もままならないところもあり
なぜあの王様ばかりが貪り食っているのか
憤りを感じました

そして王様は言います
もっと食べたいまだ足りないお腹が空いてしかたない

あきれ返る周りの人々
王様の国から出ていく人もいます
王様はその人たちにも怒ります

怒って泣いて騒いで

でもこの王様は悪い人ではないのです
ただ少し寂しい人なのです
この先、王様が自分で気づき
周りの人と楽しく一緒に食事が出来て
幸せにそのお腹が満たされる日が来ることを
お祈りしましょう

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