風の通り道

山の頂から風が一つ
木々の葉を撫でながら降りてくる

小川の流れる方へ吸い寄せられる
木の葉が一つ流される

少し上に吹き上げる
日差しがまぶしい

けもの道を押しのけて
移り変わる砂利道

押し固められたアスファルト
ガードレールが白く煤ける

カーブミラーがお辞儀をして
横断歩道に差し掛かる

他人外れの民家に
おばあちゃんが一人
今日も電話を待っている

用水路に緑のコケ
すっかり減った命の数を
見える範囲で数えてみる

角を曲がればコンビニが
ビルの隙間を縫っていく

地下鉄に乗り込んで
遠くの町へ行く
海が見えるあの町へ

人の流れが途切れた後に
顔を覗かせて笑ってるのか

雲が浮かんで懐かしさを感じる
夜がそこまで来てるようだ

コメント

タイトルとURLをコピーしました