最後の一人

この世の全ての人が消えて
私が独りになったとして
文明はそこに残っていて
今までの事は好きに出来るとして

持て余すほどの広い世界
溢れる物
その命が尽きるまで
楽しむ術はいくらでも

自身を表現する芸術は
その意味を満たすことが出来るだろうか
聞く人のいない音楽を
創る意味はあるだろうか

私は少し悩んだ末に
一度は触れなくなるかもしれない
けれど偉大な先人達の
生きた証を聴くことはやめないだろう

そしてまた楽器に手を伸ばして
気兼ねすることなく音を出すだろう

それでも伝える相手がいない
それは決定的な違いになるだろう
それが最も寂しい時間

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